ドーンッッッ!!




アローマデンクには“女”という性別を持つ者しか生活していなかった。



人が増える時には
身体が成熟した状態で、毎回決まった場所に現れる。



腹を痛めて産んでくれる母親など居ない。



神の力を駆使し、デブラが造って地上に落とすのだ。



地に足が着いた瞬間を“産まれた”と言うならば、“産まれた”瞬間から

“自分はこんな能力を持つ人種で、デブラという神を心の底から信仰している”

事を知っているのだった。



そして、ここに自分が居れるのも、デブラが“造って”くれたから。


それを分かっているからこそ、信仰心が揺らがないのだ。




だが。




何故そんな事までして“女”しか造る事が無いのか。


アダムとイヴのように、最初から“男女”を造ってしまえば、煩わしい工程をデブラ一人で行う事が無かった筈なのに。



答えは一つ。


デブラは、本当の愛を知らない神だったからだ。






彼女がかつて暮らしていた神殿に、ハルスという男が居た。

毎日の様に彼の姿を見ては胸が苦しくなる。


いつしかデブラはハルスに淡い恋心を抱いている事に気付いた。



だが、ハルスは。



ルーチェという女神と愛し合っていたのだ。




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