ドーンッッッ!!
右手を目線の位置に掲げて指し示したのは。
「ほら、見えるだろ?あの大きな建物。
あれは、お寺。
亡くなってしまった人達を供養したりする場所なんだ」
立派な造りの、小奇麗な寺。
決して新しいわけではないけれど、掃除も行き届いているし、何より住職の人柄に惚れてここを選んだ。
……そう、ここは
俺の家族が眠っている場所だった。
大きな、瓦屋根の門をくぐる。
すると、広い敷地の真ん中で、箒をもって佇んでいた住職がこちらに歩いてきた。
「おお、やっぱり太陽君じゃないか。また君は大きくなって…。
…ああ、そうか。もうそんな時期か…」
しみじみ、と 空を仰ぎ見る彼こそが、俺の唯一の理解者だった。
「お久しぶりになってしまってすみません。入学やらでちょっとドタバタしていたんで…」
「いやあ、年に一度位でも来てくれれば、ご両親たちも浮かばれるだろうよ。
…所で…。その、水色の子はもしかして、太陽君の…」
「違います。ただの同級生です!」
おそらくではあるが、住職はきっと、俺の彼女かどうかを確かめたかったのだろう。
少し語弊ではあるが、同級生という立場には変わりは無い。
まさか一緒に暮らしているとは言えるわけもなし、ましてやコイツが異星人だとか、俺の…その…片思いの相手だ とかは、口が裂けたって言うもんか。
だが、
「ほぉう…?ほぉぉおん?」
彼は、顔を真っ赤にして否定する俺の、本心を見破っているようだった。