ドーンッッッ!!




「まあ、良い。

水色の子、太陽君を宜しく頼むよ」


「ふぇ…?は…はい…?」


本当に、何を言い出すんだこの人は。


初めて会った時は葬式だったが、その厳格な表情とオーラに圧倒された。


でも知りあって行くうちに、その物言わせぬ雰囲気は外面であって


気の許した相手にはエロ住職として通っている事を知った。




がっかりはしたものの、エロ住職になっても言う事はとても胸に響いて…。


この人の事を、本当の家族と思うようになったのだ。



そんな信用に足る人の所に、家族の墓を置いてもらえて。幸運なめぐり合わせに感謝した事は今も変わらない。



「…さて。じゃあ行っておいで。戻ってきたら本堂に立ち寄りなさい。

檀家さんから頂いた美味しい茶菓子を御馳走しよう」



そう言って手を振りながら見送ってくれた住職に、ルナも笑顔で手を振り返していた。




「何だか…優しそうな方ですねッ」


「そうだな。あの人は、どんな人にでも分け隔てなく接してくれるから。

こっちまでそれに乗せられたように、どんどん信用しちゃうんだよなぁ…。


鬱陶しかったけど、今は本当に感謝してる。


…ここが、俺の本当の家族が眠っている場所だ」



本堂から幾らも離れていない場所に、大きな屋外の納骨堂がある。


スペースを幾数にも分け、その一角を墓とする、集合墓地の様なものだ。


「…なあ、不謹慎かもしれないけど。

アローマデンクの人達は、亡くなったらどうなるんだ…?」


引き出し程の、小さな観音扉の前に花を添えながら問う。



< 138 / 188 >

この作品をシェア

pagetop