ドーンッッッ!!
階段を駆け上った先で、目が焼けるような閃光を見た。
「…!?」
溜まらず目を瞑る。
その一瞬の暗闇の中で、ぐしゃり という音を聞いた。
目を開けても、まだ暗闇に慣れる事が出来ず、きょろきょろと眼球を上下させる。
やっと視界を捉える事が出来たと思えば
そこには。
「…タ…イヨ…ウ……ルナ……逃げ…て…」
天井が崩れ、土埃が舞う廊下の壁に アイユの姿が張り付いていた。
口からは血を流し、両腕は、力なくだらりとしている。
壁に貼り付けているのは、恐ろしく無機質な怪物の様な手だった。
「アイユ…ちゃん…?」
「アイユ!!」
その苦しみに耐える姿を見て居られなくて駆け寄ろうとするが、
「行くんじゃない!!」
アイユとは真逆の方からの声で足を止める。
振り向くと、瓦礫の下から、光夜さんが這い出た所だった。
その傷は一目見ただけで重傷だと分かる。
立つことすらままならない様子で、這いつくばって、必死に腕と足に力を入れているが
結局立ち上がる事は出来ない。
それでも俺たちへ向けられる眼差しには炎を宿していて
「逃げなさい…!ここではダメだ。
空澄の力が使える場所に移動するんだ!」
必死に、走れと叫んでいる。