ドーンッッッ!!
『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛』
音とも声ともつかないものを発しながら
身体よりも長い腕を引きずって瓦礫を超えてくるガンノード。
脂汗が、額を伝って鼻頭から地面に落ちた。
化け物。
そうとしか思えない。
恐怖から、奥歯がカタカタと何度もぶつかり合う。
「逃げろ!!空澄!居るな?
二人を連れて例の場所に向かえ!!」
光夜さんが大きな声を上げ、壁に縋りながら立ち上がるのを横目で見た。
すると、踊り場にいた筈の空澄の声が背後から聞こえてきた。
「…アイツの命令に従うのは癪だけど。
今は仕方ないよね。
さ、行こう。二人なら大丈夫だから」
「で…でも、あんなに怪我を」
ルナは残ると言ったのだが、空澄はそれを拒む。
「大丈夫。キミ達が移動すればガンノードも付いてくる。
一旦引いて、態勢を立て直してから助けに来ても十分間に合うよ。
―――じゃあ、足止め、お願いしますよ」
言い終わるか終わらないうちに、俺たちの腕を取って階段を駆け下り始める空澄。
最後の台詞はきっと、すれ違った二人に言ったのだろう。