ドーンッッッ!!
ふわり、と 風に包まれる様な、心地よい感覚を身体中で感じながら
科学室の、最後の闇を、見た。
「ちょっと痛いかも知れないけど
我慢、してね」
空澄が、アルコールランプに火を付け、そして――――――…
科学室に放り投げた瞬間、耳をつんざくような音と
燃えあがるようにして爆発する赤い炎が上がった。
密室に耐えきれなくなった物凄い爆風が、離れて見ている俺たちの頬をかすめた。
「タイヨウ…?大丈夫ですか…?」
「え…?あ、ああ…」
ずっと手を握っていた彼女が、心配そうにして俺の顔を覗き込んで来る。
「俺は大丈夫だけど…。ルナ、しんどくないか?」
ルナの魔法のおかげで、俺達の身体は、小さな魔法陣の上に浮かんでいた。
あまり派手な魔法ではないけれど、浮遊魔法を他人に使うのは
かなりの気力が消耗されるのだ、と聞いていたから。
うっすらと額に汗をにじませる彼女の方が心配だった。
「大丈夫ですよ、こう見えて、魔法は国で一番なんですッ」
やせ我慢なのかもしれないが、笑顔を見せてくれてホッとした。