ドーンッッッ!!
良からぬ考えを頭の中で抹消して
ここは取り合えずお礼を言う事にした。
「あの…助けて頂きありがとうございます」
本当なら起きあがって言うべきなのだが、影を縫われたように身体が動かなかった。
痛みは無いが、相当重症なんだとやっと分かった。
Bボーイはそんな俺に嫌な顔一つせず、
「いーのいーの。俺も指示されただけだし。
ってか、ヒーリングの光で目、やられちゃうからこのままだけど。
悪いねー。まともに挨拶出来なくてさ」
と、サングラスをトントンと指先で叩いて 申し訳なさそうにしていた。
…なんだ、ちゃんと会話できるんだ。
スルメは食い途中でその辺に捨ててるけどさ…。
「いえ…。あの、俺もこんなんで申し訳ないっすから…」
寝た状態だと会釈も一苦労だったが、ソレ位はしないと、感謝しているのか分からないだろう。
すみません とだけ言って、頭を少し縦に動かした。
それを見た彼は 笑いながら、右手を顔の前で左右に振る。
「仕方ないって。死にかけてたんだしさ。
所で…」
死神は新しくスルメを取り出して口に咥えたかと思うと
突然身を乗り出して、俺の顔の横に自身の顔を寄せる。
何だ…?何が起こるワケ?
一瞬、襲われるのかと肝を冷やしたが、それは要らぬ心配だったようだ。
死神はただ囁きたかったのだ。
「ご両親と妹さんと会えてよかったね」
「…はい」
彼は知っている。あれは夢なんかじゃないという事を。