ドーンッッッ!!
最後の母の言葉。
“生きて”
その言葉があったから、俺は今ここで息をしていられるんだと思う。
最後に見えた光は、あの世とこの世を繋ぐ光だったんだ…。
思い出すとまた涙が溢れてくる。
腕に力が入らず、拭う事も出来ずに。ただただ床を濡らしてしまう。
そんな俺を見て、死神は笑いながら、自身のパーカーの袖口でごしごしと涙を拭ってくれた。
痛い位の力だったけど
逆にそれが涙を止めてくれて、今この人が傍に居て良かったな なんて、こっぱずかしい事を考えてしまった。
一人で赤面していると
「さーて。泣き虫ボーイも泣きやんだ事だし。
俺はまだ仕事が残ってるから。先帰るわ」
死神は大きく伸びをしながら立ち上がった。
「お忙しいですもんね。またお手伝いに行かせてください」
空澄が声をかけると、『いつでもおいで』と、嬉しそうに笑う。
じゃあ、と声をかけようとした時。
「そうそう、最後に教えときたい事があったんだった」
キャップの上から頭を掻きながら、また俺の耳元に唇を寄せて来た。
「キミの見た、ここに戻ってこれた時の大きな目印だけど―――――――――………」
彼の低い声で紡がれた言葉は
俺の涙腺を、ジワリと熱くさせた―――――――。