ドーンッッッ!!
さよなら、だね。
「何で…驚かないですか…?」
ルナが、俺よりもショックな顔をしながら近づいてくる。
「…何でって…。うーん。しいて言えば、セオリー通りだから、かな」
「セオリー…?」
「……漫画とかテレビとかでは、こういう、異世界から来たやつらはさ。仕事が終わったら現地の、関わった人間の記憶を抹消して帰っていくわけよ。
その方が何かと都合が良いし、後で騒ぎになる事もない。
今回の事なんて、まるっきりこの世界には関係ない事だろう?なら、多分誰でもそうすると思う。まぁ、その力があれば、だけど」
記憶を残したまま帰る事に、デメリットはあってもメリットはない。
それなら全て忘れさせて、普通の日常を埋め込んだ方が良いに決まってるんだ。
「最初から分かってたから。…大丈夫だよ。俺は」
「タイヨウ……ごめんなさい…」
「何で謝る。言っただろう?誰でもそうするって。てか、そうするしかないんだって」
「違います…。だって、本当はタイヨウ…辛いでしょう?」
どくん
「…何でだよ。…俺は別に……」
「私は辛いです。だって、私たちの事を忘れてしまうんでしょう?
こんなに長い間楽しく過ごして来たのに…その記憶までも失ってしまうんですよ?
そんなの…辛いに決まってます」
どくん
何で…今そんな事を言うんだよ。
「タイヨウは忘れてしまうから辛くないかもしれませんけど…
私は、私の事を忘れられるのが辛いんです…!」
何で、そんな事を……!!
無理矢理閉じ込めてた想いが、隙間を縫って溢れだす。