ドーンッッッ!!



俯く俺を暫し眺めていたルナは、エプロンの下に着ている俺のスウェット(貸した)のポケットから


札束を取り出してテーブルの上に置いた。



「これで足りませんか?」


足りないなら…と、またポケットから札束を取り出し始める。


「いや、いや!!足ります!!足りすぎてます!!


これって何のお金?ってか、俺のスウェットは猫型ロボットの道具入れか?」


「あ、あのアニメは神ですよね」


え、知ってるんだ。ってそこじゃなく!!!


「まさか魔法で金出してる?それって犯罪じゃ…」


もしそうなら、やめさせなければ犯罪を加担したと疑われる羽目に…


神妙な面持ちで尋ねると、ルナは明るい笑顔で否定してくれた。




「まさか!!これは、換金したんです。


えと…“金”という物質が、この世界では大変価値のある物として有名ですよね?
書物で勉強しました。

クィーンベルドではそれと同じものが大量に発見されるのです。

ですから、滞在費としてこちら側に少し送って貰ったんです。ほんの10キロ程」



え、10キロって。


米じゃないんだから…


「…にしても、良く買い取ってくれたよな。ああいうのってどこで売れんだ?」


「えっと…“質屋”と言う所で“金”の文字を見つけて、入ってみたんですけど…。


そこで髪の無いオジサンが、『寺田組』という所に行けば買ってくれると紹介してくれて…」


「待て待て待て!!!ストップ!!!」


寺田組ったら、この辺でも有名なヤーさんのお宅ではなかろうか!!!



そんな裏の世界に住まわれる方々と接触するなんて…!!



知らないって、怖い!!


< 29 / 188 >

この作品をシェア

pagetop