ドーンッッッ!!
それも…魔法ですか?
入学式直後のタイミングの悪さで転校してきたという千堂ハルナは、そんな事など気にも留めないクラスメイトと教師にちやほやされていた。
「ねぇねぇ!前の学校って、どんな感じだったの?」
「千堂って、あの千堂マートの?」
「部活、何やるか決めてる?」
「カレシっているの?」
女子も男子も入り混じる集団の中、彼女は少し戸惑った表情を浮かべていた。
こんなに質問攻めにあったのは初めてなのだろう。
最初は俺も『大変そうだなー』なんて思っていたのだが
暫く見ていると、なんだか別の気持ちが出てくる。
愛想良く笑顔を振りまき、それに応えるように人が集まる。
彼女の周りにはいつも誰かが居た。
それと比べて…俺の傍には誰も寄ってくる事が無い。
ああ、そうか と直ぐに気づくのは
俺は彼女に嫉妬しているのだ。
あんな顔で人と接する事が苦手…というか、ただ単に人見知りなだけなのだが
慣れるまでの一歩が俺には中々踏み出せない。
自分にできない事を、彼女は容易くやってのけ
しかも成功しているのだった。