ドーンッッッ!!
同じ場所に居るのに、こんなにも扱いが違うクラスメイト達に腹を立て
器用な彼女に苛立った。
「…男子にまで媚びる事ねぇだろーが」
……この時、呟いた言葉が彼女への嫉妬などではない事に微塵も気づかなかった。
一番後ろの窓際の席で、突っ伏すように外を見る。
昨日までの大雨は、そんなものなど無かったかのように晴天に変わっていた。
サクラの花が、温かい風に吹かれて 笑っているように揺れている。
すると…
カタリ、と 前の席に誰かが腰かけた。
「堤君、だよね?」
名前を呼ばれた事にびくりと身体を跳ねさせてから 声の主を見やった。
そこには、綺麗な顔をした男子生徒が座っている。
「あ、やっぱり堤君だ。こんにちは」
「は…?……こんにちわ…?」
戸惑いながら、でも一応挨拶を返すと
彼はまるで、桜の花が揺れるような 優雅な笑顔を俺に向けてくれた。