ドーンッッッ!!
「ってか、ダレ?」
ブレザーの襟元に付けられた、自分と同じ学年を示すバッヂを見つめながら問う。
こんな綺麗な男、クラスに居ただろうか。
「やだなぁ。クラスメイトの顔も覚えてくれてないの?
もう2週間も同じクラスで勉強しているのに」
嫌な顔もせずそう言ってくれるが…本来なら怒るべき所なのに と、覚えていない本人が思ってしまう位気にしていない様子だった。
「あ…ごめん。えっと…」
「西前 空澄(ザイゼン アスム)。良かったら空澄って呼んで」
「あ…空澄…」
戸惑いながらポツリと名前を口にしてみると、
また彼はゆらりと笑ってくれた。
少し長めの茶色い髪。
外に一歩も出た事なんかないんじゃねーかって位に白い肌。
それを飾るように、頬には少し赤みが差している。
…女見てぇな奴だな…。綺麗だけど。
「よく言われる」
「え!?俺、声に出してた!?」
空澄はニコリと微笑みながら、首を縦に揺らした。
「あー…ゴメン。でも、その辺の女より女っぽかったからさー…って、また俺…」
「いいってば。実は、中学は殆ど通えてなくて。あ、入院しててね。
だからあまり外には出られなかったんだ。
やっと病気が治って、高校へはなんとか入学できたんだけど…
中々友達が出来なくって。もし、堤君が良かったら…友達になってくれないかな?」