ドーンッッッ!!
「何ですか?もぅ、怖い顔でそんなに見」
「黙れ」
―――――何で、こんな事をしてるんだろう。
何で、コイツなんだろう。
俺の余裕のない感情が、こんなことまでさせるなんて。
気がついたら俺は、ルナの細い腰を引き寄せて
その可愛らしい唇に俺のかさついた唇を押しつけていた。
時間も、俺たちも 何もかもが止まったと思った。
確かに付いているテレビの音さえ聞こえない位、その時間には俺とルナしかいないのではないかと錯覚してしまう。
ぐいっと胸を押される感覚でハッとし、力を緩める。
ゆっくりと離された彼女の唇は、紅い花のように綺麗な色をしていた。
「タイヨウ…?何をしたのですか?」
「………ゴメン」
「…タイヨウ?」
「先、行くわ」
顔も見る事が出来ない程、自分でも混乱していた。
鞄と、弁当箱を掴んで部屋から逃げ出す。
背中の向こうでルナが俺の名前を呼んでいるが振り向かなかった。
何て話したら良いのか分からない。
自分さえも何故あんな事をしたのか、良く理解できていないのだから。