ドーンッッッ!!
静かに怒る俺をしり目に、空澄はケータイを一心不乱にいじくっている。
軽く咳払いをしてやると焦ったように
「とにかく、今のところ何も起こって無いんだし。
そんな事よりガンノードについてルナと話合った方が良いんじゃないかなッ」
と、思ってもいない提案を俺にぶつけてくる。
俺はと言うと、さっきあんな事をしてしまった女の名前を出されて内心焦っていた。
俺は何をしたかったんだ。
頬杖を付きながら、教室の入り口を見つめ 迫ってくる足音に耳を澄ませ……
ん?足音?
疑問に思った途端。バーーーーン!という音が聞こえ、顔を上げるとそこには
「居た――――――!!!」
肩で息をするルナの姿が!!
「る…ルナ…さん?」
教室中が注目する中、怒った様子の彼女は俺に向かってずんずんと歩み寄ってくる。
「タイヨウッ!」
「はいッ!?」
「さっきしたのは何なんですか!!訳が分かりませんッ!
あの行為にどんな意味が!?説明を要求します!!」
え…ええッ!?
あー…そうか。もしかすると、奴の惑星にはキスという行為が無いのかもしれない。
それなら幾らでもごまかせるのだがッ
教室中の好奇な目!!そして何より空澄のニヤニヤした視線が俺を混乱させる。
「えーーーーっと…。なんつーか。
朝の挨拶?」
間違ってはいない。外国人はあいさつ代わりにキスするなど日常茶飯事だ!
自分にそう言い聞かせながら講義をする。
ルナは納得のいかない様な顔をして
「…キモかったです。何って言うか、ミント味のたらこみたいでした!!」
と、ドスを利かせた声で訴えてくる。
ええ、まぁ歯磨きの後でしたからね。