ドーンッッッ!!




大きくため息を吐いた俺だったが、次の瞬間


吐き出した息をまた肺の中に引き戻す事になった。


「ひぃっ!!?」


何を思ったのか、空澄が俺の手を握って来たのだ。



「おま…何を…!!」


「え?何って…。愛を語り合うんでしょ?」


「本気にするな!!」


幾ら女顔でも、俺の全身が“コレは男だ”と訴えてくるのだ!!


「きっと、僕たちなら素敵な家庭を築けると思うんだよね」


「もしその予想が当たるとしたら、地球に俺とお前の二人しかいない時だろうな」


「えー。酷いなぁ。…この前僕にキスしようとしてたくせにー」


「ばっ!!アレはだな!まだ知り合って間もない頃の事で…!!しかも誤解だ!

こんなに腹黒くて変態だと知っていたら友達になんて……」


「あははっ!またまたぁ~。冗談が上手いね。それはさておき…」




ダメだ…。コイツとは話が通じない…。

終始笑顔で、冗談なんだか真面目なんだか区別がつかない。


頭が良いのは分かるが、それがまた性格を歪めている気がしてならないんだ。


誰か…コイツの取扱説明書を…!!!




「…ねぇ、聞いてる?今とんでもなく真面目な話をしているのに」


「あ?」


空澄は俺の気のない返事に失笑し、ズルズルと氷の溶け切ったアイスカフェオレを飲み干すと


「例のメールの件だけど」



ゆらりとした笑みをこちらに向けた。




< 74 / 188 >

この作品をシェア

pagetop