ドーンッッッ!!
ゴクリと喉を鳴らす音を聞き、寝ている二人が起きないだろうかと目をやったがその心配はなさそうだ。
「それが神隠し?単なる無断外泊じゃないのか?」
友達の家とか、彼氏がいるならその家に無断で泊まる事など幾らでもある。
「違うみたいだよ。それに、もしそうだったとして
何故記憶が無くなる?
お酒を飲んで意識が飛んだとしても、誰の家に行ったかぐらいは分かる筈。
でも沖田さんはそうじゃない。
木曜の放課後から、土曜の夕方現れるまでの記憶が無いんだ。
…今、一応薬物反応が出るかを警察病院で調べてるらしいけど…。そんなんじゃないって言ってる」
「誰が?」
「その友人と、病院の関係者。…後者は僕のお父さんね」
またコーヒーを口に含み、ぐびりと飲みほした空澄の表情は
こちらがびっくりするほど冷めた表情で。
「へ…へぇ…。お前の父さんは医者なのか?しかも警察病院の…」
医者の息子だからと言って自慢している風でもない。寧ろそれに対して何を思っているのかすら分からず、そう言うので精いっぱいだったのだが。
「あ、今もしかして『父親が嫌いなのか』って思った?
正解。ボーナス10ポイントーー!!」
わーっと一人で盛り上がる空澄を、何だか見て居られなかった。
「…立派なお父さんじゃないか。優秀なんだろ?」
「…別に。警察病院って言っても民間の医療機関と対して変わんないよ。
優秀かと聞かれたら優秀な方なんじゃないかな。こんな家まで建てれる位貯えはあるみたいだし?
ただ、人格に問題がある人なんだ」