ドーンッッッ!!
「人格?傲慢だとか、そう言う事?」
「それに近い所もある。…会えば分かるよ」
何だ何だ…。茶を濁すような言い方だな。
言いたくない位嫌いなのか?
……まぁ。
「…俺も親に対して抱いてるもんはあるし。他人の家庭の事情にあれこれ口出しするつもりはねぇけど。
言いたい事は、言えるうちにはっきり言っておいた方が良い。それだけだ」
それくらいしか言えねぇよなぁ。こういうのって、どうやったって正論は言えないもんじゃないだろうか。
「…うん。ありがとう。
そう言えば、太陽の家族って…?今一人暮らしなんだよね?」
「――――ああ。昨年、死んだからな。妹もいたぞ」
「え…?」
「何だ、その顔。…あのなぁ。同情するなら金をくれってんだよ。
そりゃあ、色々と大変な事はあるけど
小額でも保険金があったのは俺にとって唯一の救いだったんだ。今ん所それは感謝してる。
…俺がまだ中学生で、明日が修学旅行だって言う時にさ。
その日 母親が買って来た下着に、勝手に名前を書きやがって。
すっげーくだらない事だって分かってるけど、それでも何故か怒りが治まらなかった。
昔の事とか持ち出して 罵って。そしたらオヤジがキレて。
仲直りする前に家、飛び出して 友達の家に泊まって
そのまま旅行先の北海道に行った。
そしたら、まだ2日目だってのに、『家が大変だから帰れ』トカ言われて
ワケ分かんないまま帰ったら、家が燃えて無くなってた。
放火だったって。
……何もできなかった。
丸焦げの柱見ても、涙も出てこなかった。
みんなの顔も、焼けてて誰が誰だかわかんなかったし
葬式も、あ、うち駆け落ち夫婦だったから親戚中から勘当喰らってて連絡先知らなくて
密葬って感じであっという間に終わってさ。
情けねーって感じ。何にかわかんねぇけど、とにかく情けなかった」