ドーンッッッ!!
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「それで、神隠しの件なんだけど。
沖田さんの他にも居るらしい」
温かいコーヒーを淹れて来てくれた空澄が、カップを手渡しながら話を元に戻した。
「さんきゅ。…で、それって木曜の放課後から土曜の夕方?」
「いや。金曜の放課後から居なくなった生徒も居るんだって。それも2~3人どころじゃない。20人近くなんだってさ。
母さんがPTAの会長やってて、今連絡が来たって大慌てで学校に行ったよ。
まだ関連性は見つかってないけど…。
“あのメール”、怪しいと思わない?」
“あのメール”。何かを奪いに来るって言う気味の悪いメールの事か。
削除してしまったせいで細部までは覚えていないが、進化途中の生物から送られてきた犯行予告みたいな文章だった。
「…それを送って来たのが犯人だって?
差出人不明のメールを送れて、人をさらって無傷で返す?
そんなバカみたいな話…」
「あはッ☆そんなバカみたいな って言う生物もここに二名程居るけどね」
…嗚呼。そう言えば、こいつらもバカみたいな話から出て来た様な変人達だったな…。
「で、さ。その犯人って…僕のカンだと……っと」
空澄が口を噤んだのは、ルナが『んん…ッ』などという、大変そそられる声でもぞもぞと動き出したからだ。
「この続きはまた後で」
俺の耳元で囁くようにそう告げた後、何を思ったのかヤツは耳に息を吹きかけて来た。
「ぅうえぇいっ!!なんじゃそのセクハラは!!鳥肌立っただろーが!!」
キモイ!!幾ら顔が可愛くても男だし!!
未だ耳に残る感触をどうにか消したくて、気休めだとは思うが腕で耳を擦る。
その反応を腹黒い頬笑みで楽しむ空澄を とてつもなく殴り飛ばしたくなった。