ドーンッッッ!!



妙に感心しながら、今度味の付け方を教わりに来よう と一つ目標を立て


最後の一滴までを大事に胃袋に収めた。



「ごちそーさま。お礼、言っておいて。旨かったって」


「うん。伝えておくよ。


さて、おなかも膨れた事だし。何する?僕寝てないけど」




そう言えば俺も寝てないんだった。そう意識すると、なんだか睡魔が…




「……眠くなってきた。今、何時だ?」



目を擦りながらケータイ画面を見ると、電波時計は12時を回る直前だった。



「もう昼かよ…。腹が膨れると横になりたくなる…。

せっかくだけど、帰って寝る事にするよ」


「えーーーー!!?日曜なのに!?ダメです。寝たら死にます」


「はいはい。お前らだってそんなに寝てねぇだろ。

眠くないなら家で“冬タナ”でも見てろよ」


「……続き…観たくなった…。ルナ……かえろ…」


「…むぅ~…。アイユちゃんがそう言うなら仕方ないです…」


「そう。なら僕も寝る事にするよ。

確か運転士さんも今日は出勤してる筈だから家まで送らせるね。ちょっと待ってて」



空になった丼を持って部屋を爽やかに出ていった空澄。


運転士も居るのかよ…。眠すぎて突っ込みも入れられなかった。



数分後、戻って来た空澄に玄関まで見送られ


黒塗りのセダンに乗せられた俺たちは、家に着くまでの間を大金持ちになったかの如く

ささやかな幸せに浸ったのだった。




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