ドーンッッッ!!
良い具合に現実逃避した俺を置いて、二人は近くの公園の公衆トイレに向かって走って行ってしまった。
待っているのも何だか訳が分からないので先に行く事にした。
楽しみにしていたのか、とか聞かれたくない。
校門前で空澄に会い、なんとなく教室まで一緒に行く事に。
「お前、あの後眠れたか?」
「バッチリ。寝過ぎて頭痛い位」
「あ、俺も俺も」
何気ない会話だったが、実は俺は警戒態勢を整えていた。
ここを曲がれば、いつものアイツがやってくる。空澄と仲の良い場面を見たアイツがどんな事をしかけて来るかは未知数だ。
ほら、そろそろいつもの足音が……
「ん?聞こえない…」
「え?何か言った?」
「いや…」
おかしい。これは、確実におかしい。
入学式で俺に一目惚れしたらしい京太郎は、次の日から毎日欠かさず俺の登校を出迎えていた。
それなのに、だ。
いつもは鬱陶しい事でも、突然無くなると違和感が半端ないもんだな。
「ちょっと、寄ってく」
「ん?良いけど…」
ガラリと教室のドアを開けると、視線が一気に突き刺さって来た。
自分のクラス以外を尋ねると、こんなにもプレッシャーが感じられるのは何故だろう。
でも今はそんな事よりも…
「…京太郎、居るか?」
違和感を取り除きたかった。