Dandelion‐天使の翼‐
テルは、あたしにとってかけがえのない人間の一人。
親に捨てられた事も
施設の部屋の片隅で母親を待ってた事も
その母親が死んだって聞いた事も。
あたしより知ってる。
テルは、小さい頃からいつだって傍に居て、あたしを見てくれていた。
寂しくて眠れない夜は、一緒の布団で寝てくれたし、泣いた時は誰にも言わずにただ傍に居てくれた。
あたしがなるべく、一人にならないように。
それは、大人になった今も続いてる。
テル本人も、両親に虐待と育児放棄をされてて、あたしより少し前に施設にやってきたらしい。
2つ上のテルには妹が居たけど、残念ながら施設に入る少し前に亡くなった。
あたしはその妹に似てるんだって、いつかテルが言ってた。
だから、優しくしたくなる。
ほっとけないんだって。
あたしは嬉しかった。
テルが居たから、今まで生きてこれてるって言っても過言じゃない。