Dandelion‐天使の翼‐
―…ガダダン!!!
その時、玄関の方から何かが勢い良くぶつかる音がした。
「何?今の音。」
あたしはベッドから起き上がり、床に落ちたパーカーを羽織ってテルを見た。
「…さぁ?猫かなんかじゃねーの?」
「ちょっ…見てきてよ…」
「知らねーよ。お前ん家だろ」
テルはそう言うと、ミネラルウォーターを口に含んだ。
そんなテルを横目に、あたしは覗き穴を覗く。
別に、何も変わったものはない。
「…なんだったんだろ。」
「シイナの勘違いだって。」
テルの声を背中に受けながら、あたしはゆっくりとドアノブに力を込めた。
――…ガッ
少しだけ開いたドアは、途中で止まった。
ドアの向こう側に、何かがあるのは明らかだ。
あたしは更に力を込めた。
…グッ…グググ……
何やら赤いものがドアの隙間から見える。
赤いチェックの…布?
しかし、力がなくてそれ以上開かない。
すると、テルがグッとドアに手をつき、力を込めた。
ゆっくり開く玄関扉。
足元を見ると、そこには信じられないモノが転がっていた。