Dandelion‐天使の翼‐
Chapter2
あたしは、息を飲んだ。
そこには、猫のように丸くうずくまっている
………………
「…人…間……?」
あたしは呟くと、ゆっくりとしゃがんで赤いソレを眺めた。
体が横に向いていて、一見しただけでは息をしているか分からない。
人間じゃなかったらよくできた人形とか…?
「死体じゃねーの?」
背後でテルが言う。
「やめてよ…縁起でもない。」
あたしがテルに言うと、テルはひょいっと赤いチェックを飛び越えて外に出た。
「どこ行くの?」
「タバコ買ってくる。」
こんな状況にも関わらず、平然と飛び出したテルは段々と小さくなる。
一人残されたあたしは、その場から動かずに、じっとその人間らしきものを見つめていた。
……どうしよう…
あたしは、そこに転がるソレの顔の部分を覗き込む。
黒い髪の隙間から、白い肌と長い睫毛が見えていて、顔の形から言うとおそらく男だろう。
しかも、結構かっこいい。
あたしがその綺麗な顔立ちに見とれていると、ほんの少し頭が動いた。