Dandelion‐天使の翼‐
「!?……っ……」
あたしは思わず、後退りする。
しかし、これで人形でも死体でもない事が証明されたので、ゆっくりと手を伸ばして赤いチェックを揺すってみた。
「…っ…んん」
芸能人ばりの端正な顔の眉間に、ぐっとシワが寄る。
「ね…ねぇ…ちょっと……
…起きてよ邪魔だから。」
あたしは、揺すりながらその男に語りかける。
すると徐々に目が開き、あたしが真っ黒な瞳の中に入り込んだ。
「…あ…」
見た目は、高校生くらいだろうか。
綺麗な顔立ちの男の子は、あたしの顔を見ると、みるみる笑顔になった。
「わぁっ…あ…あの、
……はじめましてっ!!!」
突然の挨拶に、あたしは少し戸惑う。
「えっ…は……はじめまし…て?」
恐る恐るあたしが言うと、彼は完全に目が覚めたのか、自ら体を起こした。
そして、揺すっていたあたしの手をギュッと握りしめると、ぐいっと顔を近くに寄せた。