Dandelion‐天使の翼‐


「!?……っ……」



あたしは思わず、後退りする。


しかし、これで人形でも死体でもない事が証明されたので、ゆっくりと手を伸ばして赤いチェックを揺すってみた。



「…っ…んん」



芸能人ばりの端正な顔の眉間に、ぐっとシワが寄る。



「ね…ねぇ…ちょっと……
…起きてよ邪魔だから。」


あたしは、揺すりながらその男に語りかける。



すると徐々に目が開き、あたしが真っ黒な瞳の中に入り込んだ。


「…あ…」


見た目は、高校生くらいだろうか。

綺麗な顔立ちの男の子は、あたしの顔を見ると、みるみる笑顔になった。



「わぁっ…あ…あの、
……はじめましてっ!!!」


突然の挨拶に、あたしは少し戸惑う。


「えっ…は……はじめまし…て?」


恐る恐るあたしが言うと、彼は完全に目が覚めたのか、自ら体を起こした。


そして、揺すっていたあたしの手をギュッと握りしめると、ぐいっと顔を近くに寄せた。

< 14 / 39 >

この作品をシェア

pagetop