Dandelion‐天使の翼‐

漆黒の綺麗な瞳に、吸い込まれてしまいそうな感覚に陥る。


すると、一呼吸置いた薄い彼の唇がそっと開いた。




「…はじめまして。お姉ちゃん。」




あたしは自分の耳を疑った。

いや、今のこの状況すらも疑った。



お姉ちゃん…?って言った…?



瞬きをするのが精一杯で、言葉が出てこない。


しばらく沈黙したまま、呆気にとられて居ると、タバコを買いに行っていたテルが気だるそうに帰ってきた。


テルの姿を見て、現実だと再確認する。



「……何してんの?」


テルもこの状況に、目を点にしていた。


「死体じゃ…なかった。」


あたしはテルを見上げて、訳もわからないまま、そう呟く。


「…そう…みたいだな。

とりあえず、中入ったら?
お前、下半身下着のままじゃん」


はっとして、足元を見る。

そこには、何もまとっていない生の太ももが恥ずかしげもなくさらけだされていた。


恥ずかしい。


あたしは握られていた手を振りほどいて部屋に逃げ込んだ。
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