Dandelion‐天使の翼‐
一枚は、若い女の人と小さな女の子。
もう一枚は、あたしの高校の卒業式。
あたしはその二枚の写真を食い入るように見つめた。
「…シイナさんの事は、昔から母に聞いてました。小さい時からずっと会いたかった…」
そう言って、若い女の人と小さな女の子の写真をあたしの方に差し出す。
確かに。
その写真の中の笑顔は、遠い記憶の笑顔と一致した。
「…だから、会おうと思ってシイナさんが行ってた施設に行きました。
それで、園長さんからこの写真とここの住所を貰ったんです」
卒業式の写真を裏返すと、懐かしい字でここの住所が書かれてあった。
「……ったく、あのオヤジはプライバシーもへったくれもねーな…」
「…ホント…」
ジュボッと、タバコに火を点けるテルに、あたしも同意見だった。