Dandelion‐天使の翼‐
「……超かわいい!! ラッキーだね!シイナ!!」
瞳を輝かせてユキが言った。
その言葉に首を傾げる。
「…ラッキーって、何が?」
すると、ユキが机に乗り出してきた。
「…なにがって、あんなイケメンと一つ屋根の下だよ!?
何かあんじゃないの~?」
こいつは、バカか。
ユキに対して、初めて呆れにも似た感情を抱く。
目の前で、身をよじるユキを眺めながら、いつもより長く煙を吐き出した。
「…あれ、弟だから。」
改めて、ユキに言った。
「分かってるけどさぁ~…なんつうの?禁忌?みたいなっ??」
って。何言ってんだ。
どっかの少女マンガや韓流ドラマじゃあるまいし。
「絶対ないよね。」
あたしが言うと、ユキは相変わらずプルンとした口を尖らせた。
「でさ、シイナは行くの?お母さんの所。」
…―ズクン
と、胸の奥が響いた。
タバコを挟む手が、カタカタと小さく震える。