Dandelion‐天使の翼‐
近所の河川敷の草むらに2つの影が映る。
遠くで、サッカーをして遊ぶ子供達の声が聞こえる穏やかな風景。
それとは正反対にあたしの胸の中は、ざわざわと音を立てて揺れている。
無言で歩く2人の間には、何とも言えない空間が存在していて、どちらともなくそれを意識して歩いていた。
「あっ!」
その時、ふとレオが声を上げしゃがみこんだ。
どうしたんだろう、と、レオの背後に立って、彼の手元を覗き込む。
チラッと、黄色い物体が見えた。
「可愛いー…」
レオはソレに向かって呟くように言う。
「……何?」
あたしが訊くと、レオはそっと両手を広げた。
そこには、小さなたんぽぽの花がこちらを向いて立っていた。
「…たんぽぽ…?」
思わず口を開くと、レオは子供のように無邪気な満面の笑みを見せた。
「可愛いですね!!こいつ!!」
えへへ、と笑うレオにあたしもつられて小さく笑う。
すると、レオがあたしの顔を見てどこか寂しそうに笑った。