Dandelion‐天使の翼‐
「シイナさんは、笑うとお母さんに似ています……すごく。」
レオの言葉に、あたしは硬直した。
「本当に…母を、許して貰えないですか…?」
今にも張り裂けそうな言葉に、あたしは胸が詰まるのを感じた。
何も言えずに立ち尽くすあたしに、レオが小さく語り始めた。
「…お母さん…は、ずっとずっと、シイナさんに会いたがっていました。
毎日、写真を持ち歩いていましたし、幼い僕にもあなたの存在を教えてくれました。
あなたの話をする時、必ず母は涙を流して謝るんです。
僕にすがって、『シイナ、ごめんね』って………
きっと、今も会いたがってると思います。」
レオの真っ直ぐな言葉は、あたしの胸を突き刺してじんわりと広がった。
「…だから…」
そこで、レオの言葉が止まった。
そして、言葉の変わりに白く細い腕があたしの方へ伸ばされた。
スッと、頬に触れた手は優しくて温かくて。
記憶の奥底に眠っていた母親の手とリンクした。