Dandelion‐天使の翼‐
―1ヶ月後。
透き通る青空の下、あたしは地元の駅のホームにいた。
「…マジで大丈夫?」
不安げな表情でテルが言う。
「大丈夫。これがあるし」
あたしは、ポケットから一枚の紙を取り出した。
そこには、ひどくいびつな文字で住所が書かれている。
あの、河川敷で話をした次の日、レオは忽然と姿を消した。
ダイニングのテーブルに、このメモだけが残っていた。
「広島だろ?俺も付いて行くぞ?」
心配そうにあたしに言うテルは、本当の家族のようだ。
「テールッ。今からシイナはやっと、家族水入らずになれるんだから。あんたが行ってどーすんのよ。」
隣でユキがテルを制止する。
「…それもそうか。」
なんて、テルは言ってるけど本当に心配なんだろうなって事は見て取れた。
「心配しないで。明後日には帰ってくるから」
ニコッと笑って言うと、テルは軽く2、3度頷いた。