Dandelion‐天使の翼‐
―…ピンポーン…
可愛らしい音が、屋敷に響く。
すると、インターホンからガサガサと音が聞こえた。
『はい。どちら様でしょう?』
中年の女性の声。
メイドさんだろうか。
ここまで大きなお屋敷だと、それも有り得るな、と1人で納得した。
「……えっと…あの……」
なんて言おう。
この家の主人の娘です。なんて、突然言って信じて貰えるのだろうか……。
『……何かご用ですか?』
インターホンの向こうからは怪訝そうな声。
「レ…レオくんの友達で……」
咄嗟にそう言うと、相手の声が明るくなった。
『ああ、分かりました。どうぞ』
ガッチャン、と自動で門の鍵が開く音がした。
ズズズズ…と門がゆっくり開く。
中は想像以上に大豪邸。
大きな庭に、池があってその中では鯉が優雅に泳いでいる。
玄関にたどり着くと、エプロンを着けた中年の女性が立っていた。
あたしは、深々と頭を下げる。
「失礼ですけど、お名前は?」
中年女性はあたしをマジマジと見て言った。