Dandelion‐天使の翼‐


21年前。
あたしがまだ7ヶ月の時、お母さんは父親と離婚した。


その後、すぐに再婚したけどその男はすぐに手を出す男だった。
1度はあたしを連れて逃げようとしたけど、そいつはすぐに追いかけてきて、殴る蹴るの暴行を働いた。

仕方なく、お母さんはあたしを施設に入れて保護したらしい。


男と縁を切ってあたしを迎えに行くつもりだったが、その時既にお腹にはそいつの子供が居て、迎えに行けなかった。



それが、真相だった。



「……月日が経つに連れて、怖くなったの。
あなたに…恨まれているんじゃないかと思うと……」


そう言って母は泣きながら何度も「ごめん」と呟いた。



「………もう……いいよ」


あたしは泣く母に、優しく語りかけた。


「もう、どうでもいい。そんな事。……会えて良かった…」



そう伝えると、あたしの目からもポロポロと大粒の涙が零れた。


あたしは母の元へ駆け寄り、華奢な母の体をギュッと抱き締めた。


「……ありがとう…」


母とあたしは、しばらくの間2人で泣きじゃくった。
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