Dandelion‐天使の翼‐
「…ところで、レオは…?今日は居ないの?」
しばらくして、2人共泣き止むと、あたしは部屋を見渡してそう言った。
「…その事なんだけど…」
母は、困惑した面持ちになる。
「ん?」
あたしが首を傾げると、母は小さく言った。
「……レオは4年前に亡くなってるんだけど…」
母の言葉に、あたしの顔からサーッと血の気が引いて行くのが分かった。
レオが?…4年前に?
「…じょ……冗談でしょ?
だって、先月…」
確かに、先月あたしの所に"レオ"が来た。
もしかして、他人…?
「…レオは…この子よ……」
母が、スッと一枚の写真をあたしに差し出す。
高校の入学式の笑顔の写真。
それは確かに、"レオ"だった。
「…この子だよ……うちに来たの」
あたしは母に訴えるように言う。
「じゃあ、本当に…レオが…?」
母の顔は困惑していたけど、どこか嬉しそうに見えた。
「…レオに、お線香あげてくれる?」
母の提案に、あたしは笑顔で頷いた。