Dandelion‐天使の翼‐


「で?気持ち良かった??」


ユキの一言に、あたしは飲んでいたコーヒーを思わず吐き出しそうになった。



中高生の初体験じゃあるまいし、"気持ち良かった?"って…



「……なんで?」


あたしが聞き返すとユキはニヤニヤしながら小声で言った。


「…だってDJのダイゴ、すんごい上手くて有名だから。」




世の中には、そんな事で有名になる奴も居るのか。



と、妙な感心を抱くあたしの顔を、ユキが期待ありげに覗き込む。



「で、どうだったの?
噂では、アレが黒人並で気絶するとかって聞いたけど」



どっから聞いたんだその噂。

てゆうか、そんな凄かったっけ…??



残念ながら昨日の公園での一件は、酔ってたせいもあって、あたしの記憶にはほとんど無い。


あの時のあたしの脳ミソがグダグダすぎたのか、ダイゴが噂と違ってそんなに上手くなかったのか…



だけど、目の前で瞳を輝かせるユキをがっかりもさせたくなかったので、

「良かったよ。」

とだけ、答えておいた。
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