Dandelion‐天使の翼‐

ユキとつるみ始めたのは、ここ2~3年。

元々、バイト先が一緒で知り合ったんだけど、始めはすごく仲が悪かった。



犬猿の仲ってやつ。



互いに喋らないし、目も合わせない。


そんな仲を打ち砕いたのは、バイトの誰かのお別れ会と称した酒の席。
たまたま向かい側に座って飲んでたら仲良くなって……


人間ってわかんないもんだな、って思ったのを覚えている。



「あっ。やーばい。
あたしそろそろ行くねっ」


2人でサラダをついばんでいると、ユキが声を上げた。



「仕事?」


あたしはコーンを口に運びながら訊ねる。



「うん。2時から会議」


ごそごそと身支度をするユキは、財布から1000円を出してテーブルに置いた。


「また、連絡するわ」



ユキはポワンとしたさっきまでの顔とは打って変わり、シャキッとした社会人の顔になった。


この時ばかりは、ユキを尊敬の眼差しで見る。


「いってらっしゃい」


あたしはそんなユキを見送ると、再び残ったサラダを口に運び始めた。
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