木霊の四辻
「だから、それじゃあ木霊の四辻っていう名称が破綻するでしょうよ。仮にここで木霊を聞いたとするわ。でも、そしたら外の木を見るでしょ。噂になるなら、辻よりも木だわ」
「そりゃあ、まあな」
「ま、これではっきりするわよね。木霊という名前は精霊を意識してつけられたのではなく、自分の声が過去から反響してくるという、山びこ的意味合いとしてつけられた。もっとも、過去からの声の反響なんて、あるわけがない。イコール、木霊がどんな存在なのかよく知らないヤツがつけた名前なのよ。木霊の四辻なんてわざと古めかして人間の恐怖心を煽る。みみっちぃ手だわ」
ただでさえ信じていない木霊精霊説を明確に否定できて、ゆいは少し機嫌がよくなった。
これは人間の仕業だ。だれかが怪異に見せかけて、学園の人間に恐怖を植えつけている。
その目的は、定かではないが。
「それにしても、自分の声が聞こえるなんて妙よね」
「山びこ的なら、普通だろ」
「バカね。その場の反響ならともかく、数日前の言葉が場所と時間を飛び越えて反射してくるわけないでしょうが」
「お。覚えてたのか」
そういうわざとらしいオトボケは、嫌いだ。こめかみが痛くなる。
「そりゃあ、まあな」
「ま、これではっきりするわよね。木霊という名前は精霊を意識してつけられたのではなく、自分の声が過去から反響してくるという、山びこ的意味合いとしてつけられた。もっとも、過去からの声の反響なんて、あるわけがない。イコール、木霊がどんな存在なのかよく知らないヤツがつけた名前なのよ。木霊の四辻なんてわざと古めかして人間の恐怖心を煽る。みみっちぃ手だわ」
ただでさえ信じていない木霊精霊説を明確に否定できて、ゆいは少し機嫌がよくなった。
これは人間の仕業だ。だれかが怪異に見せかけて、学園の人間に恐怖を植えつけている。
その目的は、定かではないが。
「それにしても、自分の声が聞こえるなんて妙よね」
「山びこ的なら、普通だろ」
「バカね。その場の反響ならともかく、数日前の言葉が場所と時間を飛び越えて反射してくるわけないでしょうが」
「お。覚えてたのか」
そういうわざとらしいオトボケは、嫌いだ。こめかみが痛くなる。