木霊の四辻
宮部ゆいと拍子木かおるは、肘を抱いたり足を交差させたりしながら、教室の扉の横に立って、耳を澄ませた。

「なんか聞いた話なんだけどさ、今野先輩と八木先輩ンとこ以外にも看病しに行ってんだって? えらいよなあ」

「うふふ、ありがと。ただお節介なだけなんだけどね」

「いやいやそんなことねぇって。俺にゃできねぇもん」

という燈哉の言葉に、「私も」「そうね、私も」と外の二人は頷き合っていた。

「つうかマジですげぇよな。ほとんど顔も知らなかったヤツんとこにも行ってんだろ?」

「そうでもないよ。私、顔広いから」

「へぇ。じゃあ全員前から知り合いだったのか?」

「そうよ」

初耳である。

ゆいがちらりと拍子木を見たが、彼女も初耳だったらしい。首を二回、横に振っていた。

「そっか。知り合いだったら心配にもなるわな。あー、昨日のおかゆ、俺も食いたかったわあ」

「よかったら今度つくってあげるけれど?」

「マジで! おっ、それすげぇ楽しみ!!」
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