木霊の四辻
テストを作る教師が休んでしまっていてはテストがなくなる――というのも安易な話だが、燈哉は昔から楽観主義なのである。
「それで、その木霊のことをどうして、私に話すのよ」
理由などわかっているが、あまり乗り気ではないのであえて訊ねる。
すると燈哉は、高下駄が転がるように笑った。
「はっはははっ、おいおい、そりゃないぜ、ゆい。俺がこういう話を持ってくるのは、学校長のお達しだってわかってるだろ?」
「たまに、そうじゃないこともあるでしょ」
「まあな。でも今回は学校長のお達しだ――陰陽師さん? ご本山の言葉は絶対だぜ?」
「はあっ。やんなっちゃう」
「そう言うなよ。俺だってやんなっちゃう」
言葉尻をわざと真似したのは、木霊の話をしていたからか。
なんにせよ、
「とにかく燈哉、私のことは陰陽師なんて呼ばないで。その呼称、古臭い胡散臭い嘘臭いで嫌いなの」
「ほぉ、じゃあなんて呼びゃあいい?」
ゆいは立ち上がって胸を張った。
「桜木学園特殊風紀委員。それが私の役職よ。まかり間違っても陰陽師ではないわ。そんな非科学、矯正してやる」
「それで、その木霊のことをどうして、私に話すのよ」
理由などわかっているが、あまり乗り気ではないのであえて訊ねる。
すると燈哉は、高下駄が転がるように笑った。
「はっはははっ、おいおい、そりゃないぜ、ゆい。俺がこういう話を持ってくるのは、学校長のお達しだってわかってるだろ?」
「たまに、そうじゃないこともあるでしょ」
「まあな。でも今回は学校長のお達しだ――陰陽師さん? ご本山の言葉は絶対だぜ?」
「はあっ。やんなっちゃう」
「そう言うなよ。俺だってやんなっちゃう」
言葉尻をわざと真似したのは、木霊の話をしていたからか。
なんにせよ、
「とにかく燈哉、私のことは陰陽師なんて呼ばないで。その呼称、古臭い胡散臭い嘘臭いで嫌いなの」
「ほぉ、じゃあなんて呼びゃあいい?」
ゆいは立ち上がって胸を張った。
「桜木学園特殊風紀委員。それが私の役職よ。まかり間違っても陰陽師ではないわ。そんな非科学、矯正してやる」