木霊の四辻
大野はポケットから取り出したケータイのライトをつけて、血眼になった。
「どこかにあるんだろうが、ええっ!? どこだ、どこにあるんだスピーカーは、ああっ!?」
本棚の本を引っ張り出し、積み上がった書類を蹴飛ばし、スーツが背もたれにかけられたままの椅子を倒し、自分の書斎をでたらめに引っ掻き回した大野は、やがて硬直する。
スピーカーが、見当たらない。
いや――。
「っ、ここか!」
とっさに気付いた、コンポのコンセントを抜いた。しかし、少女の悲鳴は止まらない。
―― いやあああああっ! ――
―― やめて、もう、木霊は、いやあ! ――
「なっ、なんだっ、なんだっていうんだ、いったいどこから……!」
あるとすれば宮部ゆいが先ほど放った小型スピーカーだが、それは違う。部屋の中央から声は聞こえていない。いやそれ以前に、この声はどこから聞こえているのか。
部屋中に響く少女の叫喚は、しかし、音源がない。
仮にあったとしても、幾重にも幾重にも反響する声は、いったい、どこから……。
まるで、それは、木霊のような。
「そんなバカなことがあるか……!!」
自信が作り上げた木霊の四辻には仕掛けがあった。
しかし、今聞こえているこれは――
「どこかにあるんだろうが、ええっ!? どこだ、どこにあるんだスピーカーは、ああっ!?」
本棚の本を引っ張り出し、積み上がった書類を蹴飛ばし、スーツが背もたれにかけられたままの椅子を倒し、自分の書斎をでたらめに引っ掻き回した大野は、やがて硬直する。
スピーカーが、見当たらない。
いや――。
「っ、ここか!」
とっさに気付いた、コンポのコンセントを抜いた。しかし、少女の悲鳴は止まらない。
―― いやあああああっ! ――
―― やめて、もう、木霊は、いやあ! ――
「なっ、なんだっ、なんだっていうんだ、いったいどこから……!」
あるとすれば宮部ゆいが先ほど放った小型スピーカーだが、それは違う。部屋の中央から声は聞こえていない。いやそれ以前に、この声はどこから聞こえているのか。
部屋中に響く少女の叫喚は、しかし、音源がない。
仮にあったとしても、幾重にも幾重にも反響する声は、いったい、どこから……。
まるで、それは、木霊のような。
「そんなバカなことがあるか……!!」
自信が作り上げた木霊の四辻には仕掛けがあった。
しかし、今聞こえているこれは――