木霊の四辻
「あによ。文句あるの? アンタにはなんの危険もなかったでしょうが」
「そういう問題かよ。こちとら天井にへばりついて、お前の長い話聞いてたんだぜ。コンポ抱えてよ。あー肩凝っちまった」
「はいはいお疲れさん」
「労われた気がしねえ!」
唸っている燈哉を無視して、ゆいは部屋の中央へ進んだ。大野は、完全に白目を剥いている。しばらくは起き上がらないだろう。
転がっているケータイを拾い上げたところで、燈哉が部屋のドアを開けた。外の明かりが差し込み、部屋の闇が薄れる。
ゆいは、暗記している電話番号にかけた。数コールもせずに、相手が出る。
「学校長。――はい。宮部です。仰せつかった案件は処理しました。……はい」
自分の横を抜けて、燈哉が倒れている瀬戸岡を担ぐ。まだ意識が曖昧なのか、胡乱な眼で意味のない「あー」を繰り返していた。さすがに、美少女美少女ともてはやしていた燈哉としては、見るに耐えないのだろう。燈哉は苦々しい表情をしていた。
「――はい。では、そのように」
通話を終え、ケータイを大野の上へ放ったゆいに、
「なあ、事後処理はどうなんだ?」
ゆいは両手を天秤のように持ち上げる。
「そういう問題かよ。こちとら天井にへばりついて、お前の長い話聞いてたんだぜ。コンポ抱えてよ。あー肩凝っちまった」
「はいはいお疲れさん」
「労われた気がしねえ!」
唸っている燈哉を無視して、ゆいは部屋の中央へ進んだ。大野は、完全に白目を剥いている。しばらくは起き上がらないだろう。
転がっているケータイを拾い上げたところで、燈哉が部屋のドアを開けた。外の明かりが差し込み、部屋の闇が薄れる。
ゆいは、暗記している電話番号にかけた。数コールもせずに、相手が出る。
「学校長。――はい。宮部です。仰せつかった案件は処理しました。……はい」
自分の横を抜けて、燈哉が倒れている瀬戸岡を担ぐ。まだ意識が曖昧なのか、胡乱な眼で意味のない「あー」を繰り返していた。さすがに、美少女美少女ともてはやしていた燈哉としては、見るに耐えないのだろう。燈哉は苦々しい表情をしていた。
「――はい。では、そのように」
通話を終え、ケータイを大野の上へ放ったゆいに、
「なあ、事後処理はどうなんだ?」
ゆいは両手を天秤のように持ち上げる。