あなたの恋人になりたい
「僕?怪しい者じゃないよ」

「………」

幼い私にはとても

怪しく見えた

「帽子あっちに飛んでいったでしょ?」

指を差したのが

まさしく帽子が

飛んでいった場所だ


「………」


「君の帽子、僕が取ってきてあげるよ」

私は首を大きく横にふった

「信用できないか…」

「………」

「帽子どうするの?」

小さな声で…

「無くしたって
ママに話すから」

怖くなった私は

来た道を戻り走って返った
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