短編集 cafe an
「いらっしゃいませ。」


入ってきたのは
グレーのロングコートに身を包んだ

サラサラロングストレートへアが印象的な常連客


「おはよう。店長。」


ピンクのルージュが輝く唇が弧をかいて微笑んだ


「おはようございます。
谷原さん。」


軽く頭を下げて笑顔を返すと高さ12センチはあるだろうヒールを響かせてカウンターに座った



「いつもの…ね。」


新聞をエルメスの鞄から取り出しながら谷原さんはダルそうにいった


「かしこまりました。」

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