短編集 cafe an
「温まる飲み物下さい。」


少し強い視線
気分を悪くしてしまったかな?


「かしこまりました。」

彼の注文を受けて私は後ろの棚からカップを取り出す


そこに注ぐのは
たっぷりのチョコレートシロップ


手元に感じる視線はきっと彼のもの


それが少し嬉しい


チョコレートの入ったカップにミルクを入れて

まろやかになるまでかき混ぜる



その上から泡立てたミルクを入れ


最後に生クリームを少し落として

ココアパウダーを降った



受け皿を彼の前に出して
その上に
甘く香り立つカップを静かに乗せる


そして銀色のスプーンにマシュマロを一個添えた



「お待たせいたしました。ホットチョコです。」


彼の視線はカップに釘付けになった
< 7 / 34 >

この作品をシェア

pagetop