仮面の娘
苦悩からの脱出
琴音は小学校の頃から、頭の回転が早く、運動神経も良かったので、両親や教諭達から「将来は世界を渡る人物になる」と、期待されていた。



しかし、高校に進学してから、状況は一変する。


琴音の中学校から進学した生徒は、琴音一人だけだった。

友達ができたまでは良かったのだが、琴音の秀才さを妬んでか、いじめをする生徒が出てきたのである。




「じゃあ、その傷痕は、いじめを受けてた時に?」
「はい。自転車で帰っていた時に、いきなり横から突き飛ばされて・・・」
「その時の怪我か・・・よく助かったね」
「その時は、駐輪場から出て、まだ校内だったんです。それで、友達が先生に知らせてくれたみたいで、すぐ病院に行きました」



ただ、そのいじめは、そう長く続いたわけではなかった。


顔の傷痕の要因である事故から数週間後、琴音は全校集会にて「いじめとは」という題名の作文を発表した。

読み終えた時、琴音の耳には、割れんばかりの拍手が響いたという。





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