片腕の人形
健志の家につくと家が異様なのに気づいた。

ドアが開きっぱなし。家も妙に静かだった。

「…なんか変だな」

俺は健志の家に入り大声を上げた。

「誰かいますかー!健志ー!いるかー!ごめんくださーい!!」

インターホンを連続でならし、さらに声を上げたが、返事は帰ってこなかった。

「…おじゃまします」

俺はゆっくり家に入った。

無断でいいきがしないが、健志の家には何度も遊びに来ている。

多分大丈夫だろう。

「おーい…健志ぃ…」

俺は何故か声を押し殺しながら進んだ。

家の中はかなりきれいに整理されていたが、台所には皿が割れたのか、陶器の破片がばらまかれていた。

俺は少しずつ前へ進んだが、一階には誰もいないことがわかった。

「二階にいんのかな…」

俺は足早に二階へ駆け上がった。

「おい!健志!いるか!?」

俺は健志の部屋に入った。

健志の部屋は前回遊んだときとは模様替えしたらしく、少し初々しかった。

右手にベッド。左手に机や棚があった。

壁にはアイドルのポスターが大量に貼ってあり、見てるこっちが恥ずかしくなりそうだ。

ベッドをよくみると、毛布が盛り上がっていた。形から見ても人型だったので、すぐに健志だとわかった。

「…寝てたのかよ」

これで全て説明がつく。まったく心配したのに損した気分だ。

俺は少し笑顔で健志に声をかけた。

「おい、健志起きろ。ドア開きっぱなしだったぞ。健志!」

俺が毛布を取り払った瞬間、俺から血の気が引いた。


そこにいたのは確かに健志だが、なにかがおかしかった。

目は瞳孔が開いており、口から泡が吹いている。顔も真っ青で、とても生命を感じさせる状態ではなった。


死んでいる。


そのひとことが俺の頭をよぎった。

「そん…な…」

自分の目をうかがった。

しかし目の前の健志の姿をみて、『死』以外考えられなかった。

「嘘…だ…」

首には、絞められた跡があり、赤い掌の跡がのこっていた。

それを見るとあることが思い浮かんだ。

…あの人形と同じ…。

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