片腕の人形
「ゆ…優衣…優衣!」

俺は電話番号を素早く優衣に変えると急いでコールした。

「出ろ…出ろ…!」

しばらくしても出ない。

俺は途方に暮れて、電話を切ろうとした時、優衣の声がした。

「…はい…」

「優衣!?」

俺は携帯に飛びつくと、急いで言葉を発した。

「三澤は!?」

「…」

優衣が黙った。

なんだか様子がおかしい。さっきの声も、崩れてしまいそうだった。

「優衣…あの…大丈夫か?」

「……うっ」

優衣は泣きだした。

「え」

電話越しだが、泣いていることがよくわかる。

もうそれだけで十分だった。

「三澤が…」

俺は小さく聞いた。

「死んでたのか…?」

「…うっ…うっ…」

優衣が声を押し殺しながら泣いている。

これは、もう確定的だ。

「あの人形が…」

「…え…?」

思いがけない俺の言葉に優衣は少し泣きやんだ。

俺は静かに言った。

「優衣、傷をえぐるようなこと聞くかもしれないけど…聞いていい?」

「…ひっぐ…うん」

優衣の声は弱々しかった。

「三澤は…死んでたの…?」

「うっ…ううう…」

「あ、ゴメン!」

「…う、ううん…いいの。言わなくちゃ…いけないよね…」

そういいつつも優衣の声は今にも崩れそうだった。

「ま…真由美ちゃんが…真由美ぢゃんが…ト、トイレいぐっで…言って…」

「うん」

「で…でも全然帰ってこないから…見に行っだら…個室の前で…」

最後のほうは、かなりかすれていた。

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