片腕の人形
「おい、もうふりだしたんじゃね?」

健志が叫びだした。

「ほら!…やば!マジでふってる」

健志が言ったように雨は徐々に降ってきた。冷たい水が頭にかかる。

「急ごう!」英明が駆けだす。

「ほら、優衣行くよ!」

「あ、まって真由美ちゃん!荒崎くんが…」

「真の酔いなんてすぐぬけるって!ほら!」

すかさず俺が声を出す。

「うぉおい!ひとりにするのか!?まだ酔いが抜けてないんだ…」


でもそういった時にはもう4人の愉快な仲間たちは砂利の道を走って行っていた。

「…ええ~。新手のイジメ?」


そう言いつつ、数十秒後には酔いがかなりぬけた俺は、

『三澤の言ってること当たってるかも…』と認めたくないことを考えた。

俺はゆっくり立ち上がり、砂利道をテクテクと歩き始めた。


「まったく薄情な友達だ。…いや、薄情な友達は友達じゃないのか?俺は友達がいないのか?」

俺が独り言をつぶやいていると、雨がさらに強くなってきた。

「やっべ…」

俺はスピードを速めてキャンプ場に向かおうとした。



「あれ?」



走り続ける俺に、あるものが目に入ってきた。

砂利道の横に赤い色をしたなにかだ。


なんだろう…。あれ。

雨でよく見えない…。見える限りは小さめで、12cmぐらいだろうか。

俺は取りあえず、それの近くにいき、手に取って確かめてみた。


人形だ…。


よく見るとその人形は目がひとつ足りず、身体はボロボロだ。

「おんぼろだなぁ…」

でも、優衣が落としたのかもしれない。アイツ最近人形作りに夢中だし。




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