片腕の人形
「あっ」

その人形に気がついたのは家に帰って3日たったころだった。

バッグの中にボロボロの人形が入っている。


そういえば、こんなの拾ったなぁ。


「これ…優衣のじゃなかったな…。後で捨てとくか。まったく山に人形捨てるなんてどんなやつなんだか…祖父の顔が見てみたいよ」

俺はその人形をすでに優衣からもらった、5つの人形がある机の上に置いた。

「ホントうまいなぁ」

ボロボロの人形と比べると一目瞭然だ。この人形は顔もよくわからない。

「ずっと友達か~なんか新鮮」

俺は少し微笑んで夕食のために下に降りた。






夕食のあとお気に入りの番組をみて、風呂に入り、伸び伸びと自分の部屋へ戻ろうとしたとき、手元の携帯電話がなりだした。

「あん?」

俺が電話を開くと、健志からだった。

「ふぁい。もし」


「あ、真か?なんかさ、英明に電話つながんねぇんだ。ここ2日間ずっとさ。学校にも来ないし、お前からも繋いで確かめてくんね?」

「ただの着拒否じゃ?」

「そんなわけない」

「わかった。俺からも電話してみるよ」

「ああ、頼む。」

「おう、じゃ」

俺は電話を切ると二階の部屋に入った。


そのとき俺は異変に気付いた。

机の上が少し変だと思い、よく見ると思わないことが起きていた。



あの片腕の人形が一本しかない腕で英明の人形の首を絞めていた。



俺は一瞬ゾクッとしたが、すぐに冷静さを取り戻した。

「まったく…ねーちゃんか?はぁ」

あれ、ねーちゃん家に居たっけ…居たよな多分。

俺は人形同士を離すと、廊下に出た。

「電波わりーんだよな俺の部屋」

そういいながら英明に電話をかける。






< 8 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop