人差し指を唇にあてて…
私達が教室に入ってきたのに誰も気づかず、とりあえず先生に挨拶をした。
「先生、おはようございます」
「お、おはよう、真井田。…と君は華堂だね。何だね? その格好は?」
先生は私達が入ってきたのに驚きの目をして挨拶をかえしてくれた。
「その格好とはどの格好ですか? ちゃんと制服着てますが」
先生の言っている意味がわからず反論した。
「そ、それはだな…。俗にいう…お姫様だっこ…」
お姫様だっこっていう言葉を先生が口にだした瞬間、窓にへばりついていていた皆が一斉に私達を見た。
「あ…」
と言った時にはすでに遅し。
「遅刻しそうになったので僕が桜様をお運びしました」
瞬がズバズバと答えた。
「様!?」
クラスメート達が驚きの歓声をあげてる中、瞬は淡々と語る。
「初めまして。今日から転校してきました。桜様の執事を務めます、華堂 瞬です」
「「執事!?」」
「桜様、降ろしますね。
あ、桜様のお席はどこでしょうか?」
自分の自己紹介を終えると、瞬はクラスメートには見向きもしないで、そう私に尋ねた。